作編曲講座第四回テキスト

前回までに4つの調についてお話をしました
世の中に存在する楽曲ほぼ全てがこの調のいずれかに基づいて出来ています
その調には、その調に適した和音というのが存在します
この和音は基本的に、楽曲が基づいている音階にある音で形成されています
最も簡単な例として下の図を見てみましょう


ドレミファソラシドと並んだ音符の上に、2つの音を同じ階段状に並べた図です
この和音は当然ながら、一つも#や♭の付かないハ長調にある音だけで形成された和音になっています
これが、ハ長調に適した和音ということになります

ちなみに上の図では3種類の形の和音が登場しています
長三和音、短三和音、減三和音の3種類です
これに増三和音を加えた合計4種類の和音のことを「主要三和音」と呼びます
そして、この主要三和音は全て響きが綺麗な和音という意味で「協和和音」と呼ばれます
では、実際にその和音がどういう中身を持っているのかを見ていくことにしましょう

 和音を表わすのに便利なものが、コードと呼ばれる
 アルファベットや数字を並べた左図のような文字列です
 コード=和音のことなのですが、こういった文字列のことを呼ぶ場合は
 「コード」と呼ばれることが多いです

 さて、左図を見てください
 全てのコードはこの並び方で記載されています

    @基準となる音(ルート
    Aそのルートに意味を持たせる為のアルファベット
    B付け加えられる音に意味を持たせる為のアルファベット
    C付け加えられる音が何の音なのかを示す数字
    D最後に補足やプラスアルファを行うための表記

 なので、コードを読む場合には

    @→A→C→B→D

 の順に見て読む事になります

 まだ何のことか分からないと思いますが、コードはこういう構成に
 なっているんだということだけ理解してください

 実際の内容の説明はこれから行いますので、分からなくても
 慌てる必要はありません
 内容の説明に入る前に、コードの形のもう一つの特徴を
 先に覚えてしまいましょう

 左図を見てください

 先ほどの@〜Dの表記ですが、記載を省略できる場合があります
 絶対に省略しようのないのは@のみです

   Aは後ほど説明するメジャーを意味するMに限り
     省略することが出来ます

   Bは存在しない場合とマイナーを意味するmに関して
     省略することが出来ます

   Cは存在しない場合には省略することが出来ます

   D存在しない場合には省略することが出来ます

 一通り、細かい内容を説明し終わったあとに、もう一度
 この説明を行います
 そこで、理解が出来ると思いますので、今は「どういうことだろう?」
 という疑問を頭に置きつつ進むことにします


上図はピアノなどの鍵盤にドレミファソラシドと書き込んだものです
このドレミファソラシドはイタリア語の読みなので、それを英語表記になおします

すると、こういう表記になります
先ほどのルートは、まさにこのアルファベット表記した音を指します

つまり、Eといえばミのことですし
Fといえばファのことです



次に上の図を見てください
鍵盤は白い鍵盤だけではなく黒い鍵盤が登場します
楽譜等で黒い鍵盤にあたる音が登場する場合、という記号が使われることが多いのです
この#や♭の意味をまず覚えてしまいましょう
鍵盤の図で見ると分かりやすいので、鍵盤の図を使って説明しますが
ギターでもトランペットでもリコーダーでも何でも同じです
上図の鍵盤にドとレの音が書かれていますが
ドとレの間には黒い鍵盤があります
このドと隣り合う黒い鍵盤
これを表わす場合に、ドを基準に見れば「ドの#(シャープ)」となり
レを基準に見れば「レの♭(フラット)」となります

つまり、#というのは、半音高い音を意味する記号なのです
反対にフラットは半音低い音を意味する記号です

さて、ここで新たに単語が登場しました、「半音」て何?



ではまず上の図を見てください
先ほどのように隣り合う音の関係のことを半音の関係と言います
そして、ドとレのような2つ隣の音の関係を全音と言います

それ以外の距離を表わす場合にはどうしましょう?
半音3つや、2音半(全音2つと半音1つ)といった言い方をすることもあります
カラオケのように+3や-4なんて言い方をすることもあります
しかし、それだけではやはり音楽をするには不便です
そこで登場するのが「」という単語です

下に一覧にまとめました
そして、その中でも必ず覚えて欲しい距離(度)に関しては赤字で記載してあります
この赤字の部分は、これからのレッスンで登場することになるので必ず覚えて下さい
それ以外の部分は・・・別に覚えなくても困りません(笑)

























































10 10 11 11 12










ファ
ファ ファ













長三和音(メジャー)

では、まずは長三和音について解説します
長三和音のことを英語では「メジャーコード」と言います
では、最初はCのメジャーコードを例に見ていきましょう

メジャーコードはルートを基準に長三度の音+完全五度の音で形成される和音です
なんのこっちゃ?ですねw
では先ほどの度の一覧を見ながら考えてください
Cつまりドの音が先ほどの一覧でも実例での基準になっています
では、長三度のところにある音は何でしょうか?
長三度のところの実例を見ますと
低い音(つまり基準)がドに対して、高い音(基準からみて長三度にある音)はミの音になっています
同じように完全五度の音は・・・ソの音になっています

つまり、基準の「ド」+長三度の「ミ」+完全五度の「ソ」
ドミソという和音がCのメジャーコードということになります

ではAのメジャーコードならばどうでしょう?
ルートがラなので、先ほどの一覧の実例は使えません
残念ながら自分で数えるしかありませんね
こういう具合に音の距離を考えるのに必要になるのが、先ほどの一覧で赤字で書いた部分なのです
なので、覚えるようにして下さい

実際に解答を言いますと
ルート=ラ
長三度=ド#
完全五度=ミ
になります
分かりにくい人は、ピアノの鍵盤やギターのフレットの数で半音の数から確認してみてください

このメジャーコードの呼び方ですが
Cメジャーコード
という具合に言っても大丈夫ですし
単にCコード
と言っても大丈夫です

そして、このCメジャーコードを書く場合

Cにメジャーを意味するMをつけて
CM
と書くのが本来の意味としては正しいのですが
先ほどの省略の話のAのルール
Aの位置にくるアルファベットでメジャーを意味するMに関しては省略して記載する
となっています

そしてB〜Dに関しては、Cメジャーコードには存在しません
なので省略します
すると

C

だけが残ります

つまり、コードを表記する場合Cメジャーコードは単に「C」とだけ記載されるのです


短三和音(マイナー)

短三和音のことを英語では「マイナーコード」と言います
では、先ほどと同じようにCのマイナーコードを例に見ていきましょう

マイナーコードはルートを基準に短三度+完全五度で形成される和音です
同じように一覧を見てみましょう
ルート=ド
短三度=ミ♭
完全五度=ソ
となっていますね

このドミ♭ソという和音がCのマイナーコードになります

ここで先ほどのメジャーコードと比較してみてください
違いはどこにありますか?

そう、ミかミ♭かの違いしかありません

Cのマイナーコードを呼ぶ時には
Cマイナー
とそのまま呼びます
そして、このマイナーコードを記載する場合は
Cにマイナーを意味する小文字のmをつけて
Cm
と書きます
先のコード記載のルールで見ますとB〜Dが存在しないので省略
後は全て省略できないので、記載しています


減三和音(ディミニッシュ)

減三和音のことを英語では「ディミニッシュコード」と言います
では同じように見ていきましょう

ディミニッシュコードはルートを基準に短三度+減五度で形成される和音です
また一覧で見てみますと
ルート=ド
短三度=ミ♭
減五度=ソ♭
となっていますね

この和音はマイナーコードのソの音がソ♭と半音下がっただけであることを
確認しておいてください

この和音は表記の仕方によって呼び方が変わることもある面倒な和音です
通常はディミニッシュを意味する小文字のdimをつけて
Cdimと書き
Cディミニッシュと呼ぶことが多いのですが
Cmの五度の音を半音下げるという意味で-5という数字を付け足して
Cm-5なんて書き方をすることもあります
この場合もディミニッシュと呼べば構わないのですが
一般的にはこの書き方がされている時は
Cマイナーフラットファイブ
なんて呼び方をします

記載ルールでいうならば
最初のCdimの方は
@とAを記載して
B〜Dは存在しないので省略

後者のCm-5の方は
@とAでCmと表記し
B〜Cは存在しないので省略し
Dで-5と表記しているわけです


増三和音(オーグメント)

増三和音のことを英語では「オーグメントコード」と言います
また同じように見ていきましょう

オーグメントコードはルートを基準に長三度+増五度で形成される和音です
ルート=ド
長三度=ミ
増五度=ソ#
となっていますね

この形についてもメジャーコードのソの音に#が付いているだけであることを確認して下さい

ディミニッシュ同様にこの和音も表記方法によって呼び方が変わることがある和音です
通常はオーグメントを意味する小文字のaugをつけて
Caugと書き
Cオーグメントと呼ぶことが多いのですが
Cのメジャーコードの五度の音を半音上げるという意味から
C+5なんて書き方をする場合もあります
この場合は、オーグメントと読んでも構いませんが
Cメジャーシャープファイブ
なんて読み方をすることもあります

記載ルールについてもディミニッシュと同じですね


ここまでで、和音の中でも最も基本になる主要三和音の解説が終わったわけですが
なかなか全て暗記できるものではありません
特に演奏をするわけではないので、見た瞬間把握できる必要はありません
なので、覚え方のコツを言います

まずメジャーコードはCとFとGの3種類を覚えて下さい
マイナーコードはDmとEmとAmの3種類を覚えて下さい
ディミニッシュコードはBdimだけ覚えて下さい
オーグメントはCaugだけ覚えて下さい

和音はルートからの距離で種類分けされているので
ルートが半音あがれば、他の音も自動的に半音あがります
つまり・・・順番に半音ずつ上げ下げすれば目的のコードにたどり着くことが出来るわけです

出現頻度の低いディミニッシュやオーグメントは1つだけ覚えておいて
メジャーとマイナーは頻繁に登場するので3箇所程度覚えておくと
あとはやっているうちに覚えようとしなくても勝手に覚えます


さて、次回は主要三和音以外の和音を一気に全部やってしまいます
メモの準備を忘れずに〜